己が力見せるとき(後編)

昨日から引き続き作業。
ちなみに中途半端で授業時間終了です。


 昨日から二日かけて行われた作業、それは本校が拾ってきた(らしい)機体であるAS355F1エキュレイユ2の整備作業。内容はエンジンの搭載である。まだ単発機のヒューズ369(現MD500)やベル206のエンジンも載せたこともないのに、いきなり双発機体である。まあ耐空類別N類(車の規制で言うところ軽自動車)ですが、この機体は規制ぎりぎりです*1。まあ双発といってもこの二つのエンジンはヒューズやレンジャーと同じアリソン250エンジンなので知っていますが、エンジンを知っていても搭載したことはありません。そう、ここで勉強の成果が試されるのだ。クレーンを使ってエンジンを機体と機械的に固定、その後エンジンと機体とシステム的につなげていく。エンジンから伸びるのは空気、燃料、滑油といったパイプやチューブ。それぞれを適切な方法でつなげていく。まさにこれまでの授業の集大成といえるもの。ただ配管を締めるといっても一筋縄ではいかない。まずそれに合うレンチ(スパナ)を用意しなければならない。が、面倒なことに機体はミリ企画のフランス製で、エンジンはインチ企画のアメリカ製である。これらが混在していたりするからサイズを選ぶのも大変である。そして締める時の力はそれぞれ決まっており、当然トルクレンチが必要となる。もちろん配管にトルクは欠いてないのでマニュアルを見るなりしなければならない。トルクをかけるにも場所によってダイヤル式、リミット式を使い分け、どうしても無理ならボックスレンチなどにバネ計りをつけてトルクレンチにしたりしながら作業は進む。
 ボルトなどを締めた場所はボルトやナットが緩まないようにワイヤーなど緩み止めをするのですが、どこもかしくも半端な場所にあって四苦八苦。そんなこんなで苦労しながら作業は進む。
 いろいろ考えながら作業をしたせいか、時間が進むのが早い。が、この二日で気になったのはそのことではない。周りの反応である。いつもはダルそうに作業をしているみんなも、今日は一致団結して作業に取り組んでいた。手の空いたものは自ら仕事を探し、無ければ支援する。なぜ?この意欲はどこから出てきたのだろうか。いつもとやっていることは殆ど変わらないはずであるが、唯一心は違った。いや、なぜかは分かる。でも、それを言葉で表すことは私にはできない。目的があって何かを達成するため?いや、なんか違う。でも、やっぱり人間やるときはやるんだな。それがよく分かった。


(追記)
 作業をしていると先生達が次から次に助っ人に来た。「そのうちヘリ科の先生全員来るんじゃないか?」などと言っていたが、半分本当になってしまった。

*1:というかこの機体に上限があわされているらしい