いつも心(と時間)にゆとりを

上が新ピラー 下が旧ピラー

 自転車のサドルを買い行った帰り、思わぬタイムロスによりバイトに間に合わくなりそうになり、
脅威の峠越えが始まる。ドロップハンドルの恩恵かが勝つか、インナーギア封印が痛むか…。

 きっかけはちょっとしたもの。その結果、私は思わぬ苦労をすることとなる。
 人生そのようなことは一杯あります。行動はゆとりを持って行いましょう。

 自転車をドロップハンドルにして一番の問題は、シートポスト(シートピラー)だった。標準装備のサスペンションシートピラーが、わずかな上下動、特に左右やねじりに対してすぐに悲鳴をあげるのだ。普通にペダルをこいでいて「ギィギィ」。閑静な木漏れ日の綺麗な道を進んでいた。木々は道路の日差しをさえぎるように発達し、葉や枝の間からは太陽光が漏れる。耳を澄ませば木々のざわめきが、小鳥たちのさえずりが聞こえてくる。そして、シートピラーからは「ギィギィ」という雑音が鳴り響く。これは前傾姿勢となることで、サドルがいい感じにホールドしてくれたおかげでピラーに荷重がかかったためっぽい。
 気になってしょうがないので、近く(15キロぐらい)の自転車屋まで買出しに出発。もちろん自転車で。購入したのはFSAのSL-280 Alloyというモデル。
 帰り道。夕方からバイトなので、あまり寄り道できませんがちょっとぐらいなら…。という気持ちで横道をそれてしまったのが運のつき。知らない道をひたすら進み、最後には工事中。ええ!?今から来た道引き返すとバイトに間に合わないかも。間に合う道は無きにしもあらず。寮に戻るにはどうがんばっても山越えが必要だが、その中でも山をまっすぐ突き抜けるルートがそのときの最短ルート。最大の問題は車が絶え間なく通る道だということ。もちろん歩道のような路肩は無い。自転車だって車である。通る分には法律上問題ないが、かといって命を削って通りたくも無い。が、なりふりかまっていられない。強行突破。
 眼前には長い坂が続く。自転車はドロップハンドルになり、登坂能力は上昇している。が、一方でインナーギアが封印されたのでその分登坂能力が減少している。差し引きゼロ。しかし越えなければならない坂はそこにはある。退路は無い。私はギアを一段落とした。坂がきつくなる。横を大きなトラックが追い抜いていく。突風が体をたたき、バランスを崩す。後続車両もトラックだ。これで車道側に倒れようものなら間違いなく死ぬ。ギアをさらに一段落とし安定するまで加速。急激に乳酸がたまる。そしてギアがまた一段、また一段と落としていき、ついに現段階で最低のギア比に落ちる。前のギアが38T、後ろが34Tだから、ギア比は約1。まだ坂は続くというのに、私の足はそろそろ限界である。幻のインナーだと28Tと34Tでギア比は1以下。このギア比だとさすがに上れない坂は無いだろうが、今降りて手動でチェーンをかけ直すのも億劫である。というか、それしたら負けかなと思ってる。学生(20・男性)。今の自分は勝ってると思います*1
 些細なネタで気を紛らわせつつ、何とか登頂。が、ここから二車線だった道路は一車線となり、ますます自転車の居場所が無くなる。かくなる上は方法は一つ、私は覚悟を決めチェーンをアウターギアにかける。答えは簡単、車の流れに乗ればいい。先ほどまで上った分続く下り道。先ほどまで体を縛っていた重力は今では味方である。ペダルをこぐと、その分、いやそれ以上に加速する。自転車はぐんぐんと加速していき、メーターはすでに60キロを指していた。とにかく追い抜かれたりすると風圧で転倒しそうなので、抜かされないよう流れに乗らなければならない。そして次第に坂もなだらかになり、信号のある交差点で休憩。下りなので体力の消費は大したことありませんが、風圧で涙が出てきて、それにより視界がゆがんでいて冷や汗ものだった。
 とにかく無事に寮に到着。運動の後でシャワーも浴びたければ食事もとりたかったが、急いで着替えて原付に乗り換えてバイト先へ。汗も乾かぬままバイトを始めた結果、有り余ったパワーでいつもより2割り増しのテンションでバイトに励む私であった。

*1:元ネタがわからない人はこの言葉を要検索