俺の歌を聴けーーーー!

大して親しくない相手とカラオケに行って
帰りに朝靄で見えない川を見たお話

 その日、友人の車に揺られ隣の町へと向かっていた。4月に二つのクラスが合併し、そのとき知り合った別のクラスの人たちとカラオケに行くことになったのだ。なぜカラオケに行くのに隣町に行くのか。いくら今住んでいる市が田舎とはいえ、カラオケボックスぐらい片手で数えるくらいはある。なのになぜか。


「歌う歌がマイナー*1だから、サイバーダムじゃだめなんだよ」


 ということらしい。企画者が血眼になって歌いたい歌が歌える場所を探した結果、隣町となったのだ。正直、「自転車なんだよ人生は」が歌えればダムでもジョイでもウガでもどうでもいいじゃないかと言うのが私の意見だ。もともと音楽に疎い私はインディーズや最新の歌についての知識はゼロに近いですし、その手の違いはほとんど分からない。なによりカラオケなんてアカペラで熱唱しても変わらないじゃないかという腐れた感性を持っている人間だ。ちなみに私が選んだもっとも歌うのに適した場所はバスルームという結論になっている。つまり何が言いたいかというと、気が乗ってない。
 なら断れよというのは正論だろうが、やはり人付き合いって大切だと思う。たぶん。


 なんどか事故を起こしそうな運転の後到着。ちなみにいくつか事件が起こったが省略。そしてカラオケボックス内の出来事も全て省略。まさか9時から6時まで歌いっぱなしとは…。死ぬかと思った。
 朝靄立ち込める中帰り道。もちろん今晩は誰も寝てない。運転手が一番うつろな状態なので、ガードレールの無い川沿いの道を通るとき落ちないかと冷や冷やしていた。それにしても、早朝の川は不気味だ。靄で川がまったく見えないのだ。川幅の広いその川の付近は視程が100m程度だと思うほどだ。フォグランプの黄色い光のありがたみが分かるってもんです。ともかく、その川はまるで中に入るとまったく別の世界に繋がっているような神秘的で不気味な雰囲気をかもし出していました。ちなみにオチは無い。強いて言うなら、それから仮眠した後ガラガラ声のままバイトに行かなければならないことを忘れていたぐらいだろうか。



「い゛ら゛っじゃい゛ま゛ぜ〜(満面の笑み)」

*1:アニソンとかだったのは秘密だ。軽く引いたのも秘密だ。