折りたたみ自転車に思ふこと

ダホン メトロD6 現状


 結局、折りたたみ自転車に必要なものはなんだろうか。一時期ものすごく折りたたみ自転車にあこがれていた時期があった。「バイトしていい折りたたみ自転車を買うぞ!」と思っていた時期もあった。結局、その思いは「KHSのF20を買おう」「やっぱり定番のBD-1だろ」「いやいや、ロードバイクを買うべきだろう」、という思いに変わり、さらに「やっぱデジカメだろ」、「どうでもいいや、とりあえず走る折りたたみ自転車がほしい」と、落ちるとこまで落ち、今私の手元にはダホンのメトロD6(のOEM)がある。こう聞くとメトロD6に悪いイメージをもたれそうだが、2万円でこれは安いと思うほどだ。メトロについての詳細はこちら


 さて、一応「折りたたみ自転車を買う」という当初の願いは叶えられたものだが、やはり実物を届くと予想との違いに驚く。まず、折りたたんでもでかい。当初これを使って輪行しまくるぞ、という意気込みだったが、設置スペースは立てたクロスバイクとさほど変わらないのではないか?と思うほどだ。実際はそれよりも小さいのだが。そしてやっぱり持ち運ぶには重い。比較的軽い部類の自転車なのだが、重いものは重い。ブロンプトンやらセキサイダー装備のBD-1の意味がよくわかるぜチクショー。と思い、MC-1よろしく、シートポストにキャスター組み込んで転がせるようにしようかな?と思っているが、その思いは未だ叶っていない。そしてあまり小さくならないこと。当初は部屋の隅に鎮座させておこうと考えていたが、思ったよりでかいので私の所有する自転車では唯一野外常備である。まあこれは毎日通学に使うためということもありますが、もっと折り畳んで運ぶのが楽なら部屋の中にいたかもしれない。
 そこで悟った。折りたたみ自転車に必要なものを。私が今一番興味を持っているのがスマートコグKOMA。最近3段変速を装備した6インチホイール車である。ダホンは横折タイプを採用し、折りたたみハンドルと組み合わせ上下に小さくなるが、こちらは前後につぶす事で左右が小さくなっている。実物は見たことがないが、画像を見る限り設置スペースはかなり小さいと思われる。これなら玄関の片隅に置いていてもいいのではないだろうか?ちょっと出かけるとき「雨が降りそうだから傘を持っていくか」という感覚と同じ感覚で自転車を持っていく。素晴らしい。もっとも、私がKOMAを買ったら高確率で部屋のオブジェと化しそうだが。というか、あのメカニカルな外観も素晴らしい。チェーンリングが二重ってあたりが大好き。そして無駄にエアサスペンションってあたりも大好き。そして強引にディレーラーとスプロケットを組み込んだことも大好き。そして何より折りたたんで立った状態で転がせるのが最高。
 長い前置きだが、つまり私が思う折りたたみ自転車に必要なものは「設置スペース」と「持ち運びやすさである」。ダホンにしろBD-1にしろ、折りたたみ寸法全体を見れば小さいが、やはりもっとも必要なのは横と縦の寸法。高さはあまり気にならない。むしろ、コロなどで転がせるようにしていれば、ある程度の高さがないと転がすのに中腰にならなければならない。シートポストやハンドルを上げるという手もあるが、せっかく折りたためる部分が台無しである。しかしMC-1は許可。カートだし。
 先に述べたKOMAハンディーバイクLGS CM、など、最近そういった縦に長く転がせる自転車が生まれてきた。つまり需要があるということだ。日常生活の足とするための携帯性を求めた結果ということか。だが、携帯性を重視した結果、当然走行性能に疑問を感じるだろう。そこを最大限確保したのがダホンやBD-1といった自転車だろう。車に積む分にはいいが、輪行や部屋の片隅に置くには、ちょっと大きい。
 そう考えてみると、今は懐かしいプジョーのコリブリは実に合理的な設計だったんだな、と、今になって思う。フレームは畳まず、ハンドルだけ畳む。そして自転車は立てる。フレームを折るわけじゃないから折りたたみ機構による重量増は無くせ、フレームの剛性を確保できる。それでいて設置スペースは少ない。立てる場合キャリアを設置させるのだが、つまりキャリアは標準装備である。後付でキャリアをつける必要もない。ともかくこのキャリア部分にキャスターでも組み込めば、後輪と一緒に転がせるのではないが。いろいろと考えるのだが、プジョーの自転車業界撤退に伴いコリブリも今や製造中止になって久しい。そこで、プジョーのあとを引き継いだルノーだが、悲しいかな、コリブリの後継は現在存在しない。
 やっと告白しようとした相手が転校してしまっていたような状況だ。ともあれ、遊び心で作られる折りたたみ自転車たち。これからどんな自転車がつくられていくのだろうか、楽しみだ。