再開

休む間もなく普通に再開される授業。
ベル47の奏でる音が、新たなスタートを合図した……?


 この日、大切な相棒が消えていった。毎朝のように顔をあわせ、いつも私の嫌がることしかしなかった"あいつ"が…。ウザイと思っていた。でも、"アイツ"がいなければ私は生きていけない。そんなことは分かっていても、どうしても心の底から好きにはなれなかった。でも、もう"アイツ"はもう消えてしまった。今朝、いつものように声をかけられたのを最後に……。私は明日からどうすればいいんだ?おい、聞いているのか!?誰もいない部屋の中で一人目覚まし時計に言い迫る私。早く電池を買ってこなければ。
 


 審査の余韻に浸る暇もなく、何事もなかったかのように普通に再開される授業。久しぶりのはずなのに、そう感じない自分の感性に今日もよろしく。
 今日は久しぶりに実機で整備作業。内容は防錆、及び洗浄作業。普段まとまりの無い私の班は、今日は不思議と作業に集中し驚きの作業効率。おかげで迅速かつ的確で作業を行うも絶対一つは失敗するちょっとお茶目なもう一つの班よりも、一足早い作業進行でした。というか、それだけやってやっと人並み。
 昼食を食べようとしたら、食堂や売店の人の多さに気が狂いそうになった田舎人は、一人学校を脱出して近くのコンビニへ。多分私は一生都会で生活できない体質です。当然東京なんてテレビで見るだけで嫌です。
 休む間もなく続けられる作業の途中、本校が誇る歴史的名機ベル47の年に一度の試運転が始まる。この直前他のヘリ整備科のクラスも見物に来てエプロンは一瞬にして人に埋め尽くされた。


 間近で見るベル47の始動は最近のヘリとは違った迫力。最近のヘリコプターは練習機を除けばまずタービンエンジン(ジェットエンジン)だが、旧式のベル47は車と同じレシプロエンジンである。スターターの始動音もキュイーンというタービンエンジンの高音とは違い、ブルンというレシプロ特有の重低音。そして、木製ブレードが発する特有の風切り音。こう見ると、かつてはこの音が世界各地で鳴っていたのだろうか…。などとは考えずエンジンを止めたら直ちに作業再開。やっぱりこの学校休む暇もありません。


 ともあれ洗浄後の始動でも問題なく、オイルが温まったところでオイルを抜いてこの日の作業は終了。帰宅後は疲れたので自転車で走り回る。偶然走りに行こうと思ったときに帰宅する先輩に会い、帰宅したときも遊び(?)から帰った先輩に遭遇。もしかして気が合うかも?などと考えてみたり。…何を言っているのだ私は…。