あの日見た風景

鳥の群れ

 肉体的にも精神的にも疲労した国家試験から1週間。私は自転車に乗っていた。
私にとって自由にいられる時間は自転車に乗っている時間だ。
ペダルを漕ぎさえすればどこにでもいける。
不思議とそういう気分になれる。そう、いつの時も。

 久しぶりに天候に恵まれた今日は、それだけでサイクリングするに十分な動機となる。国家試験やらで忙しかったため、遠出している時間など無かったわけではないが、さすがに自制していた。そんな束縛から開放された今日は、いつもにましてペダルを漕ぐ足が軽かった。一応目的地があったのだが、うっかり曲がるところを通り過ぎていたのでそのまま県外へ。木曽川を超え、犬山上のふもとへと辿り着く。私は山や海、そして川が好きだ。自然のものは時と共にその姿を変える。山の木々は揺れ、海は波立ち、川は流れる。木曽川の側で腰を下ろしていると、そういえば昔もここでこんなことをしていたな、と思い出す。



 左は2005年6月5日。日記には書いていないが、休憩していました。こう見ると自転車も若干変わっているし、携帯電話が変わって画質が変わっている。そして、自分は…?



 その後来た道を引き返し、目的地へ。スポーツバイクを扱っている自転車屋は寮からかなり離れた場所にある。が、こうも何度も行っているとその距離も長くは感じない。というか自転車に乗っていると長い時間など苦にならない。自転車に乗っている時間が楽しいのだからそりゃそうだ。これって一種のランナーズハイなのだろうか?
 で、そこで偶然にも学校の自転車仲間に出会い、そのまま一緒にポタリング(自転車散歩)。友人の自転車も変わっていた。普段はロードレーサー乗りの彼だが、周辺の劣悪な環境はロードバイクを寄せ付けない。なのでサイクリングには普段山乗り用のマウンテンバイクで行っている。フロントフォークが変わり、ブレーキはディスクブレーキ。ショップに仲のいい人がいるらしく、店の在庫からタダ同然でもらったらしい。うらやましい。ついでに中空クランク(グレードは忘れた)になってるし。


 のほほんとして休日。友人とひたすら道を進み、気づけばずいぶんと日が傾いていた。頃合を見つけて引き返し、分かれ道で別れる。久しぶりに朝から晩まで自転車に乗った一日。授業尽くめの一日と違い、知識も何も得られない一日だが、私はこんな一日が好きだ。
 結局自分は何も変わっていない。それはいいことなのかどうかは分からない。ただ、自分にとってこの時間は何にも変えることができない、それだけは真実だ。車と違いエンジンがついていない乗り物で、辛い坂を上っていく。そんな時間も過ぎ去れば大切な思い出である。この変わらぬ思いのまま、いつか日本を走ってみたい。成長の無い馬鹿のままだが、馬鹿のまま生きて生きたい。どんなに世界は変わろうと、変わらぬ自分を守りたい。



 などとまとめようと思ったがまとめれそうに無いのでぐだぐだで日記を終える今日この頃(←なんじゃそりゃ)。
 とりあえず自転車のシフターはグリップシフトよりラビットファイアの方が長距離向けっていうのが分かった。グリップから手を離さなくていいから変速が楽チンである。逆に一気に変速するのはグリップの方がいいけど。