富士山攻略戦 中編

富士山 中編

 それは試練。箱根を抜けた先にはさらなる高み。
 ひたすら続く坂。吹き付ける雨。
 それでも進み続ける、それが自転車乗りだ!


 予報、雨。涼しい1日になるでしょう。


 朝のニュースでお天気おねえさんが笑顔でそう言っている。外は一度雨が降ったのか、路面が濡れていた。雨があがっているうちに出発。そんな二日目のスタート。

 昨日引き返した道まで再び走り、今日も朝からひたすらヒルクライム!途中高齢の方が自転車を押していた。互いに激励し合いさらに坂を登る。

 途中道を間違えて行き止まり。

 昨日の疲れも取れておらず、二人ともくたくたである。

 その後も坂は続き、いったいどれほど昇ればいのだろうか…。しかし、昇りがあれば下りがある。

 途中からはひたすら緩やかなダウンヒル!しかも追い風!最高のコンディションでぐんぐん進んでいく!ただしこの時点でどこを走っているのかは不明だったのは秘密だ!二人とも道を間違えたときのことなど考えていない!

 途中突然道幅が狭まりこんな道も。なぜかここだけ急な下りの後急な昇り。なかなかスリルがありました。
 幸せはいつまでも続くわけではなく、再び昇り。パン屋で軽い食事を済ませたのち昇り続け、道中にあったお好み焼き屋で昼食をとる。

 お腹も満たされ、終わりのないヒルクライム。ひたすら昇る。昨日から昇ってばかりである。道中牧場などで生の馬や牛を堪能しながら登っていく。

 3時のおやつ代わりにえいちの村でアイスクリームを食べるが、せっかく温まった体を冷やすことになり、寒い寒い言いながら出発することになるが、心配無用!まだ上りが続いてすぐに体が温まる!はずだった。
 天候が悪化し、パラパラと降っていた雨も無視できないものになる。せっかくの展望エリアに着くが、何も見えやしない。ウィンドブレイカーを羽織り、再び山に挑む。幸か不幸か、雨が本降りになったときは山を登りきった時だった。あとは下りだけだ。長い長いダウンヒル。路面は完全に濡れ、ふとした拍子にグリップを失う。ブレーキも効かず、減速するのが精一杯である。タイヤが巻き上げた水が勢いよく顔に叩きつけられる。上から下から、コンディションは最悪だ。どのくらい走ったろうか?ウィンドブレイカーの防水性能などたかが知れている。すぐにしみ込み、体温が奪われていく。
 山を下り終えたが、コンビニも何もない。唯一あった建物の庇で休憩。もうぐちょぐちょである。持ってきたタオルで汗だか雨だか分らないものを吹くが寒いものは寒い。友人の長袖を借りて少し暖を取る。ちなみにこの建物、消防団の詰所だったのだが、何人か出会ったが、ずぶ濡れの二人を見ても一言も声もかけず、冷たい視線をなげかけるだけだった。別に助けてくれとは言わないが、残っていた熱いソウルを消化された気分だ。さすが消防。
 再び土砂降りの中出発。追い抜く車からの水しぶきを耐え、道の駅に逃げ込む。

 暖を取りたいので温泉に入り、冷えた体を温める。ゆっくりしたかったが、すぐにのぼせ、それにのんびりしていたら日も落ちるのですぐに出発。
 ある程度走るが、もう走るのもしんどいので、早めに宿を探す。コンビニ近くにあった民宿に連絡を取ると、一人4000円で泊めてくれると言われ、承諾。この雨の中自転車を野ざらしにするのは心配だったが、昨日と違いちゃんと自転車も屋根のある場所に駐輪させてもらい、自転車にとってもいい宿だった。部屋に通してもらうと、普通の和室。まさに民宿。豪華さはないが、逆に休まる。濡れた服を水洗いして干して外出。
 夕食を取ってコンビニで買い物、その後部屋でくつろぐ。テレビでルパンを見てそのまま夢の中。明日も頑張ろう。