カメラの本当の価値

 前回画質は画素で決まるわけではないと書いたが、じゃあなんだとなる。
 前置き面倒なのでやっぱり結論から言うと、レンズに他ならない。
 最近は一眼レフカメラの低価格化に伴い、一眼ユーザーが増えてきた。セットでついてきたレンズだけでは物足りず、じゃあ新しいレンズを買おうとして、驚愕するだろう。なんでカメラ本体より高いの?
 そう、カメラはあくまで写真を保存する機械にすぎず、主役はレンズなのだ。

 カメラの性能で「3倍ズーム」というのもレンズの性能だ。もうちょっと詳しく言えば、「F2.8-5.8」だとか、「28〜105mm(35mm換算)」という記号がレンズの性能だ。これにやれ非球面レンズやら最大撮影倍率やら、MTFチャートがどうの、被写界深度がどうの、とにかくいろんな暗号がレンズに隠されている。知らなくてもどうにでもなる。

 同じカメラでもレンズが変わるだけで「ええ!?このカメラってこんなに奇麗に写せるの?」と思う人が多いはず。とにかくそのぐらいレンズの性能は重要なのだ。

 レンズの役目は光を集めて、映像素子に分かりやすく被写体を見せてやること。単純かつ重要な役割なのだ。

 あと、レンズの性能を見た時に知っておきたいことをいくつか。まず「28〜105mm(35mm換算)」の意味。これは撮影範囲を表していて、この差が「○倍ズーム」と呼ばれることとなる。○mmの数値が小さいほど広い範囲が、大きいほど遠くのものが撮れる。28mmがどのくらい撮れるか、105mmがどのくらい撮れるかは覚えるしかない。
 次に「F2.8-5.8」という意味。これはレンズの明るさを表している。レンズの役割が光を集めると書いたが、その集める能力とでも言おうか。今回「28〜105mm F2.8-5.8」という性能は、28mmで撮影した時明るさがF2.8、105mmで撮影した時明るさがF5.8という意味。この数値は小さいほど明るい。望遠になると暗くなるが、これをいかに抑えるかがレンズメーカーの腕の見せ所。ちなみに明るくなるとどうなるかというと、シャッタースピードが速くなります。分りやすく言うと、手ぶれが起きにくくなり、暗いところでも撮影できるということ。

 とりあえずこの二点分かってれば、コンデジ買う時も有利になります。たとえば「3倍ズーム」と書かれたカメラが二つあったとしても、一つは「28〜84mm」、もう一つは「35〜105mm」だとだいぶ違ってくる。広く写そうと思えば28mmと35mmでは28mmの方が結構広く写せる。逆に一番ズームしたら84mmと105mmでは105mmの方が遠くを写せる。もうちょっと言えば、「100〜300mm」でも同じ3倍ズームである。300mmあれば空港で飛行機だって撮れないこともない。「○倍ズーム」と書かれた言葉に騙されず、自分が何mmの画角を使いたいかで選ぶと幸せになれる。
 そしてレンズの性能で忘れてはならないのが、ズームはできればできるほどレンズの性能が落ちるということ。3倍ズームと10倍ズームでは、使い勝手では10倍ズームの方がいいかもしれないが、画質を見れば3倍ズームの方が上となる。この辺ギブアンドテイク。けど、むやみに高倍率のカメラを買うと、ちょっとがっかりするかもしれない。

 ともかく、カメラを買うとき、たまにはレンズのことも気にしてあげてください。