その名はIXY910IS その一生


 そういえばこんなやつもいたな。GX200の購入で全く日の目を見なくなったカメラ、IXY910ISである。
 ちょうどIXYを購入したのがブログを更新できない空白の期間だっただけに、購入時のいきさつがまったく書かれていないことに気づいた。
 せっかく掘り起こしたので、IXYについて少し語りたいと思う。ポップな画像に深い意味はない。
 IXYを購入したのは去年の1月ごろ。当時E-330だけで撮影していたので、ちょっと機動性に問題があった。そこで必要に迫られてコンデジの購入を考えるようになった。
 当時は今ほどカメラに対する知識はなかった。コンデジに対する知識はほぼゼロで、一からの勉強だった。ネットで調べ、店頭で実際に触ってみて、いろいろと悩んだ。なんだかんだいって、こうやって悩んでいる時が一番楽しいものだ。その時GXは候補になかったのか?というと、あるにはあった。だが、当時はGX200でなくGX100。LC-1も発売されていたなかった。値段とサイズ、レンズキャップなどの問題から選考に落された。

CASIO デジタルカメラ EXILIM (エクシリム)  EX-V7BK ブラック

CASIO デジタルカメラ EXILIM (エクシリム) EX-V7BK ブラック

 カシオのEX-V7もいい線まで行ったのだが、焦点距離は28mm相当が欲しかったので、選考落ちとなる。実はこのカメラ、今でもムービーカメラとして手元に置いておきたい代物だったりする。カシオはすっかりハイスピード万歳な会社だが、その機能をEV-V9あたりとして発売してくれないだろうか?ああいうレンズカバーが電源になるというのは結構好きなのだ。 そういう熱い選考を経て、最終的にCAPLIO R7とIXY910ISが候補に残った。前者は調べていってもっとも性能的にしっくりきたもの。後者は売れている信頼のメーカー。R7はかなり気に入っており、最後まで悩んだ。だが、人気もIXYがぶっちぎりである。今でこそリコーの名は売れているが、その時はあまり有名ではなかった。かく言う私もあまり知らなかった。触った感じもR7が大変いいが、最後はメーカーのネームバリューでIXYを選ぶこととなった。その後リコーは着実に人気を伸ばし、コンデジ大手のパナソニックキヤノンの間に割って入るほどとなっている。いいものは評価される。そのいい例だ。買わなくてごめんなさい。

 で、IXYが手元にきて、それなりに使うことになる。やはり自転車で走る時にカメラが小さいことは大きなアドバンテージで、持ち運びに苦労しない。やはり自転車にはコンデジだと実感した。輪行や富士山一周の時も活躍し、それなりの活躍をした。
 そう、「それなり」である。なんだろうか、こう悪いカメラではないのだが、撮ろうとは思わない。撮ることがあまり楽しくない。ここはこうしたいのに、こうできない。一眼とは対極に位置するコンデジにだんだんと苛立ちを感じだしたのだ。

 IXYはあくまで一般向けのカメラだ。だから基本コンセプトは「何も考えずに綺麗な写真が撮れること」である。シャッターさえ切ればいい写真は撮れる。操作系も撮影者があまり手を加えることはできない。「こういう写真を撮りたい」と、カメラにお願いする感じだ。撮影者がカメラに「こうやって撮れ」と命令するのではない。あくまで、カメラ任せだ。携帯電話のカメラと大差はない。そう思うようになった。
 そういったことから、IXYの出番は自然と減っていった。

 だが、やはり最後まで悩んで買ったカメラだ。悪いカメラではない。実のところ、私はキヤノンコンデジが嫌いだった。何がかというと、デザインだ。四角いボディに丸いレンズがひょこっと付いているのが嫌いだった。だが、IXY910ISは、そのカラーリングと相まってなぜか許せた。特にカラーリングはかつての一眼を思わせる。そういうことでトップのポップな画像はOM30とツーショット。他意はない。ちなみに現行のIXYは個人的にはすべてNOで、やはりデザイン的には910が洗練されていると思っている。もちろん描写も決して悪くない。

 普通に使う分にはまったく問題はない。だが、やはりカメラに詳しいといろいろ欲が出てきていしまう。ここは絞って…、ここはスローシャッターで…などなど。


 そうか、カメラが撮るのではなく、自分で写真を撮りたいのだ。


 その後私はGX200を購入するに至るが、そういう顛末の結果だ。実際GX200は最高の買い物だと今でも思っているが、そこに至るまでのワンステップがIXY910ISである。飼い主を間違えられた犬とも言おうか、決して悪くはないが、使われることはなくなった。そんな可哀そうなカメラ。

 新しい里親も見つかったので、これからは新しい場所で大切に使ってもらいたい。